演技力を鍛える方法について

演技力を鍛える方法については、表現力を高める方法にて述べている通りやはり理論的な部分も必要となりますし、自己の表現を解き放っていくこともとても重要となってきます。演技をする際に、演技中におかれている状況を表す方法として二種類のパターンが挙げられます。
まず一つ目が、台本などから情報を読み取り、基本的に台本に沿って状況を説明していくという方法です。

このパターンは、端的に言えば子供の学芸会などでの演技が該当します。つまり、完全にシンプルな形でこのパターンについて表現をすると、台本というある意味での本を演者が口に出して説明することで、その置かれている状況が見るものに伝わるということです。プロの役者などはまずこの基本形を頭にインプットした上で、各々が持つ独特の表現方法、しぐさや顔の表情、そしてセリフを言う際の口調などを駆使してその人にしか出来ない演技をおこなっていきます。台本を基本として見るものに伝えていく方法である為、見るものがどういった人であってもある程度内容を正確に伝えていくことが出来ます。

そして二つ目は更に高度な技術と、演者の経験が必要となってくるものです。それは、与えられた役として生きるということです。
初めは台本から世界観や役どころなどの情報を理解しなければならない点では一つ目と共通していますが、そのあとに自分がそのままその世界に入り込んでその役として生きていくという点で大きくことなります。例えば、台本にてある世界が表現されていたとすると、その世界の中で与えられた状況で自分がどう感じ、何を表現していきたいかということを考えます。そしてその役どころの本人として、言いたいことややりたい事を表現することで見るものを惹きつけていきます。この方法で表現を行う場合には、先述のとおり、心と体、そして頭を一体化させる訓練を経る必要があります。まず、世界に入り込むために理解力を身に着けていきます。そして本人になりきって考えることが出来たら、湧き出てきた感情をすぐさま体へ伝達し、言葉だけでなく体の柔軟な運動能力を以て全身で表現します。さらには想像の世界に自分が入り込み、それを現実のものとして受け止めるという想像力も非常に重要です。そして、全てのことを人前でさらけ出すために、恥じらいを取り去る能力も必要となってきます。つまり、やはりここでも心や体、頭についてそれぞれを鍛え、最終的に三位のバランスを整え合わせていくことで、演者としての能力が向上し、最高の演技を行うことが出来るようになると言えます。